生板ショー

社員旅行で、とある温泉街へ行った時の話。
先輩が男性社員を引き連れてストリップ劇場へ行こうと言い出しました。
ゲイの僕は興味がなかったのですが、渋々参加。
古めかしいストリップ劇場。
「ここって結構有名なんだぜ」
と言った先輩社員でしたが、お化けでも出てきそうな古い建物でした。
舞台では、何人もの女性が音楽に合わせて服を脱いでいきました。
僕はあくびを噛み殺しながらの鑑賞です。
しばらく退屈なショーがあった後、舞台が暗転し、アナウンスが流れました。
「それでは生板ショーのお時間でございます。ご希望の方は……」
「おっ。きたきた。お前、行けよ」
先輩社員が、今年の新入社員の肩を叩きました。
その様子を見ていた僕は、何のことかわからずに隣に座っていた同僚に訊きました。
「生板だよ。舞台で本番できるんだ」
生板ショーとかまな板ショーと呼ばれるそれは、昔は色んなストリップ劇場で行われたいたらしいのです。
公然わいせつにあたるため、最近では壊滅状態ということですが、この片田舎の劇場では未だに存在するのでした。
「へぇ」
と、頷きながら、僕は胸が高鳴りました。
何しろ、「お前、行けって！」と囃し立てられている新入社員は、なかなかのイケメンだからです。
「そんなぁ。俺、無理ですって」
「業務命令だ。行け」
「そんなぁ……」
希望者は起立するというシステムらしいのですが、席を立つ者はいませんでした。
そこで、先輩が無理矢理に新入社員の肩を持って抱き起こし、立候補させました。
観念したのか、舞台に上がった新入社員。
ほとんど全裸状態でガウンを羽織った踊り子が現れ、新入社員と相対する格好で、舞台に敷かれた布団へ座りました。
踊り子は新入社員の手を取ると、自分の胸へと誘いました。
新入社員君は覚悟を決めたのか、両手で踊り子の胸を鷲掴みにして揉みしだき始めます。
踊り子が新入社員君の浴衣を脱がせ、そのままパンツもずりおろして全裸にさせました。
僕は息を呑みます。
学生時代は陸上部だったという彼は、均整のとれたいい体をしていました。
あそこはすでに勃起していて、大きさはなかなか立派でした。
僕は、彼ばかりを見つめていました。
若さ溢れる激しい腰の動き。
筋肉が波打つ逞しい身体。
苦痛に耐えているようにも見える、快感に歪んだ表情。
舞台の上で、スポットライトに照らされた、大学を卒業したばかりの若者のセックスショー。
それが、「あの子、なかなか可愛いなぁ」と密かに思っていた新入社員君なのですから、僕にとっては最高のショーでした。
やがて射精し、客から盛大な拍手が沸き起こりました。
「いいぞ、○○！」
先輩が彼の名前を叫びます。
彼は、照れた表情を浮かべていました。
こういうことは男だけの秘密にしておくべきだと思うのですが、誰が喋ったのか、この話は社内じゅうに広まりました。
おかげで、女性社員や派遣社員から軽蔑の目で見られることになった彼は、ちょっと可哀想です。