恵那峡山菜園にて
名神から東名に乗り継ぎ、小牧ＪＣＴから中央自動車道に入ります。
小牧ＪＣＴから恵那峡ＩＣまで五十キロぐらいでしょうか。
バス旅行で信州方面に旅行する折には、早朝に出発して昼飯は決まって恵那峡ＩＣで
降りて五六分ほどのところにあります恵那峡山菜園という大きなドライブインで昼食
をとります。
恵那峡というからには山間渓谷かと思いきや、ちょっと小高い丘の上で、山菜園だか
らその土地て採れた山菜でも食べさせてもらえるのかと思ったら、大きな駐車場と食
堂と土産物屋
があるだけなんですよ。
瀬戸市とか多治見市に近いからなんでしょうか、ちょっとした学校の講堂ほどもある
大きな平屋建ての陶器専門の販売店がありましてね。
出発までの時間潰しにと店の中を冷やかしていたのですが、ふと目に止まったのが太
い男の逸物を抱えて居眠っている小僧さんの焼物なんです。
小僧さんの背中に丸い穴が開いておりましてね。そこから酒を入れて逸物の先から酒
を猪口に注ぐのでしょう。小さなほうは楊枝差しにでも使うのでしょうか。
大小ありましたが、大きいほうの男のシンボルが本物そっくりなんですよ。
色は全体が褐色の釉薬が掛かってましたけどね。
カリ首のくびれ具合といい、血管の走り具合といい、これはきっと焼物屋の親父が自
分のチンコを石膏で象って原形を作ったのだろうなぁ・・・と手に取って眺めていた
のです。
でも、太さはちょっと太すぎます。これだけ太いと口の中に入るかなぁ……と思いま
したが、店の中では咥えてみることも出来ません。
いや、本当は咥えられるかなぁ……と、咥えかけたのですよ。
誰も見ていないだろうなぁ……と目線を上げましたら、なんと六十前後の親父さんが
こちらを見ているではないですか。
デップリと太って、腹の出た親父さんでした。
恥ずかしかったものですから、あわてて大きいほうを掴んで売場の方へと行きました
よ。
先程の親父さんは……と見ますと、背中を向けて他のものを品定めしております。
その焼物を箱に入れてもらい、包装紙で包んでもらって金を払って外へ出ようとした
とき、先程背中を向けていた親父さんが店内にいないのですよ。
アレッと外を見ますと親父さんは店を出て、坂道をゆっくりと上がって行ってるじゃ
あないですか。
坂道の上のほうには、大きなトイレがあるのです。大型バスが何台も停車するからな
んてしょう。小便所だって二十人ぐらいは横一列に並べるくらいの大きなトイレで
す。
親父さんはゆっくりと坂道を上っていきながら、後ろを振り返ります。
店から出た私の顔を見ては、またゆっくりと坂道を上っていきます。
胸がドキン・ドキンと鼓動を打ちます。
でも私の足が独りでに、坂道のほうへと動き出すではないですか。
また親父さんが後ろを振り返ります。私が後を追っているのを確認すると、急に早足
になってトイレの中へと姿を消します。
付いていったらどうなるのか。どうしょう、どうしょう……と思いながらもトイレの
入り口に達しておりましたよ。大きなトイレには親父さんが一人だけです。
親父さんは、ながーい小便所の真中辺りに立って小便をしております。
やはり教養と知性とが邪魔をするのですねぇ。さすがの私も、親父さんの近くには立
てませんでしたよ。
正直言って、同年輩に近いでしょう。ひょっとしたら、年上かも知れません。
親父さんが真中なら、私は端っこの小便器の前に立って、いま買ったばかりの陶器の
入った箱を前の棚に置いてチンコを引っ張り出しました。
でも、眼球だけは最大限に真中の親父さんの方に向いておりましたよ。
親父さんの筒先からは、水は出ておりませんでした。それどころか、筒先はいま買っ
て前の棚に置いている焼物の男のシンボルのように太く突き出ているではないです
か。
しかも、これ見よがしに体を心持ちこちらへ向けているのです。
もちろん私の筒先も、買った焼物には劣りますが突き上げておりましたよ。
親父さんは首をぐっとこちらへ向けて、私のチンコが大きくなっているのを確認した
のか、握った手の親指を立てて後ろを指さします。そうなんです。後は大便所なんで
す。
親父さんは、さっさとチンコをズボンの中へ仕舞い込むと大便所へと入ります。
入った大便所の扉が、少しだけ開いていて「早く来んかい」と呼んでいるみたいなん
ですよ。もう頭の中とは反対に足が独りでに少し開いた大便所へと向かっておりまし
たです、ハイ。
大便所の扉に鍵を掛けたのは親父さんです。
首に腕を回し抱き寄せてキッスをしたのは私です。
後は、お互いに差し出した舌を吸い合いながら、お互いの手は相手の股間をまさぐっ
ておりましたよ。
キッスは一時中止にして、ズボンと猿股はそれぞれ自分で引き下ろします。
引き下ろされた猿股の中から顔を覗かせた親父さんの逸物は、まるで先程の焼物に
そっくりではないですか。
お互いに唇を合わせながら、手だけは相手のチンコを握って盛んに動いておりました
よ。
立ったり座ったり、お互いのチンコを咥え合っては唇を合わせておりました。
どちらが早く気をやったのか忘れてしまいましたが、男の生理って溜まったいたもの
を出してしまうと、おも終わりなんですねぇ。
急いでズボンを引き上げ身仕度を整えへてトイレから出ると、もう赤の他人です。
つい先程まで、あんなに激しく燃えていたものを・・・。
あの親父さんも、きっと何処かの団体バスのご一行さんの一人だったのでしょう。
最初から最後まで、一言も言葉を交わさず終いでしたよ。
でも、いい親父さんでした。
買って帰った焼物を見るたびに、その親父さんを思い出します。
あれは善光寺参りの途中だったと思います。
これまでの男遊びの数々の悪行の懺悔のつもりが、却っていいお土産を戴きました
よ。
それ以降も何度か恵那峡山菜園で昼飯を食べましたが、あの親父さんとは二度と出会
うことはありませんでした。
ひょっとしたら常日頃の善行に、善光寺さんが報いてくれたのかも知れません。
日頃の心掛けって大事ですねぇ……。
