内定式
10月1日は内定式。夕方、街を歩いていると、リクルートスーツの若い男の集団が、同じ大きな紙袋を片手に楽し気に談笑しながら歩いていた。会社からもらった会社資料なんだろうなー。
去年と今年は、コロナ禍で内定式自体が自粛や中止。それよりも、就職活動そのものが、難しかったり、会社の業績不振で内定取り消しなんて問題もあるようだ。『頑張ってね!!』って心の中で応援。
で、俺の時をふと思い出した。当時は、内定式とは言ってなくて、内定発表の解禁日みたいな位置づけで、10月1日に会社に一日拘束されて、他社に行けないような暗黙のルール。
俺は、大阪本社の会社に内定が決まり、大阪で過ごした。10月1日は本社で昼間は研修的な行事があり、夜はホテルで宴会。二日目は奈良観光。
同期とは確か、その時が初対面で、九州地区、関西地区、中部地区、関東地区みたいに出身大学でチームが組まれていた。
当時はまだ、ノンケのつもりでいた俺だが、やはり男子学生に目がいく。技術職と営業職がメインの採用だったので、圧倒的に男が多い職場ではあったのだが。
同じ九州地区のチームで、最初に隣に座った男が、今思えば、超俺好み。2日間を常に一緒に行動した。
夜の宴会は、本来なら、内定が決まり『どんちゃん騒ぎ』なのかもしれないが、そこは『人事が目を光らせているはず!』という怪情報も流れ、パンツは脱がずに控えめに。
そんな訳で、一番盛り上がったのは、宴会が終わり、各自チームごとの部屋割りの就寝部屋に戻った2次会。
6人ずつくらいの部屋だったが、お気に入りの男も同じ部屋。早速、全員で大浴場に向かう。酒も入っているので、皆、股間のガードもゆるゆる。『彼』も無防備に、チンポやケツをタオルや手で隠さずに潔く振舞う。白い『彼』の裸体が眩しかった。
部屋に戻ると、会社が用意してくれた2次会用の酒を飲みながら、自然に、彼女の話や、初体験、初センズリの話になる。
『彼』の告白の順番になり、センズリや初体験の話を聞くと、俺のチンポはビンビンになってしまい、胡坐を組み直したり、うつ伏せに寝たりして誤魔化すのに苦労した。
『彼』は彼女がいるらしく、当時まだ、童貞の俺は、激しく落胆した。俺はと言うと、流石に正直に童貞とは言えなくて、女は経験済で、彼女とは別れたって嘘を話して虚しかった。
夜も更け、寝ることになり『彼』の隣の布団をキープはしたものの、もちろん、夜這いなんてできないし、ビンビンになったチンポを何度も握りしめながら、悶々とした夜を過ごした。
天井の常夜灯の明かりを見ながら、今日、初対面の同じ部屋で寝ている男6人って不思議な縁だなと思いつつ、自分自身は、今は学生と言う立場で、親の仕送りで、何の苦労もなく、面白可笑しく過ごしているが、これから就職し、定年まで、自分で仕事をして、金を稼がないと生きて行けなんだという、現実を噛みしめながら、なかなか眠れない長い夜が過ぎて行った。
翌朝、二日酔いで目が覚めると、皆、浴衣の前は開け、朝勃ち丸出しで大笑いして、奈良観光に向かった。