「二人ともエロかったですね。イイもの見せてもらいましたよ」
「…」
二人は真っ赤な顔をしてうつむいている。
「安田様はお着替えをお願いします」
「は、はい…」
「英人君もチンポしまってくださいね笑」
「はい」
いそいそと身支度を整える二人を穏やかな表情で見守る深川だが、その目には冷酷さと残忍さが潜んでいた。
安田が帰宅した後、何事もなかったかのように英人と深川は仕事をこなした。
安田は、息子とセックスをした現実に戸惑い恐れ、そして息子との今後の関係性がどうなっていくのかという不安から当日の夜は寝ることが出来なかった。それは英人も同じだった。
しかし、翌日、いつもの日常が当たり前のように存在したことに二人は心から安堵した。いつもと何も変わらない日常を過ごすうちに、父子でセックスしたのは夢だったのではないかと思うほど遥か昔の出来事に感じるようになっていった。
そして2週間が経過した。
「これはいくらになりますかね?」
深川は老舗ゲイビデオメーカーの社長と話しをしている。公式ツ〇ッターのフォロワー数が100万人を超える人気メーカーだが、事務所は最寄駅から徒歩20分も離れている古びたテナントビルで景気はあまり良くないように見受けられる。
「なかなかエロい動画だね。本物の父子であることが証明できれば出演料として50万円ですね」
「そんなもんですか?」
「1人にだから合計100万円ですよ」
「父親のアナニー動画はどうですか?」
「この近親相姦のセックス動画が本物であると証明できれば10万円ですね」
「少ないんですね……」
「二人が父子である証明はできるんですか?」
「それは大丈夫です」
「それでは、この父親のアナニー動画をダウンロード販売してみて、その売れ行きが良ければ父子セックスの動画のギャラをアップするというのではどうですか?」
「分かりました。検討してみます」
「よろしくお願いします」
帰路、深川は苦々しげな表情を隠そうとしなかった。
これなら自分で販売した方が早いな…
こうして深川の計画は着々と進み、半年後にアメリカ企業と契約を結び、欧米とアジア諸国でDVD「エステサロンで近親相姦~父親が息子チンポで発狂寸前」が発売された。6年前にSNSで話題になった日本人父子の近親相姦セックス動画をご存じの方は多いと思う。この仕掛人が深川で、出演していた父子こそ、安田と英人だ。
DVD発売後、安田は離婚し会社を辞め、英人は大学を退学して、ゲイビデオ男優に専念することになった。二人は新作に次々と出演したが世間は飽きるのが早い。売上は下降し続け、この3年間は新作の発売は無い。世間的に完全に消えてしまった二人は、違法アップロード動画が時折ツ〇ッターで流れてくる程度の存在となっている。
一方、深川のエステサロンは順調に店舗数を増やし、このコロナ渦でも売り上げを伸ばしていた。
父子が今何をしているのか…
それは深川だけが知る。