ウリセンへのスカウト
ウリセンのきっかけは、スカウトメールだった。
利用しているゲイ専用のSNS経由で、ある日メッセージが届いた。
はじめまして。突然メール失礼します。
アツヤさんの体と雰囲気が素敵でしたので思わずメールしてしまいました。
アツヤさんは気軽にお稼ぎ頂けるアルバイトに興味はございませんか?
当店は男性専用のエスコート店です。スタッフは学生さんと社会人がほとんどで空いた少しの時間で頑張っております。もちろんお店に来ることなく自宅や学校、職場で待機して頂いて大丈夫!!
顔バレも心配でしたらボカシや目線もOKです。
少しでも興味がございましたらご連絡ください!
詳しくは当店のサイトを御覧ください。
http://www...
まさか自分にこんなメールが来るとは思わず、しかも素敵だなんて言われてしまい、正直嬉しくなってしまった。
ウリセンって、もっと選ばれし者がやることだと思っていたから。振り返ると、このようなメールは手当たり次第スタッフが送っていたのだが、その時の俺は自分がいい男扱いされた気分になっていた。なんとも単純だ。
(本当に俺なんかでいいのかなあ。ちょっとやってみたいな)
そんな小さな、小さすぎる好奇心が始まりだった。
当時、俺はつきあっていた彼氏と別れたばっかりで、何か新しいことがしたかった。彼氏がいたら絶対にできないこと。空いた心の穴を埋めてくれる何かを。
しかも、ウリセンだったら誰かが俺を求めてくれるかもしれない。彼氏にはフラれたけど、こんな俺をお金という価値で認めてくれるかもしれない。そしてそれは、どれだけの価値になるのだろう?
抵抗は全くなかった。28歳にもなれば、そういうセックスにも慣れている。
承認欲求と自分の価値を知りたい好奇心。正直、お金はそこまで気にしていなかった。
(……やってみよう。ウリセン始めたら、どうなるんだろう)
『メッセージありがとうございました。アルバイトに興味があってお返事してみました』
俺はすぐに返事を送り、見知らぬ世界へ踏み込む楽しみでいっぱいになった。