筋肉質男性

数ヶ月振りに東京に来てみたけど、相変わらず誰とも付き合っていないんだ？」「まあね・・・。」「ちょくちょく、いろんな人と会ってるようなこと、筋肉質メールで送ってくれてたけど？」「ああ、あれは全部ヤリ目だからね・・・。」「やるだけでいいんだ？」「うん、まあ・・・。」「付き合う気はなくて、やるだけやって、あとはサヨナラか・・・。そのまま誰とも付き合わずに30代になっちゃえば？」「何、その言い方。そこまで言ってないじゃん。」「じゃあ、会った人に、”また会って下さい”って言いなよ。」「いや、いいよ。向こうだって１回やるだけのつもりで会ってるんだから、そんな気ないよ。」「言ってるの？」「いや、誰にも言ったことないけど。」「じゃあ、言いなよ!!」大親友の筋肉質ゲイの友人Wとの、先日、ココロカフェでの会話だ。
この日、なぜ、いつも独り身なのかと随分キツく問い質された。いつものことである。彼は元体育会系のバリタチで、恋愛に関してオレは彼の足元にも及ばない。そんな恋愛偏差値の高いWにとって、親友のオレには幸せになってもらいたいらしい。彼にもオレと同じ時期があって、ただひたすらSEXするだけの日々があったそうだ。そんなものは不毛だと彼は口をすっぱくして言っており、頑固なオレが見ていられないと、よく言っている。「恋愛する気はないワケね？」「あるよ。」「じゃあ何で真面目に誰かと付き合おうとしないんだよ。」「怖いからだよ。」「え!?」「フラれるのが怖いからだよ。筋肉質メールが来なくなるのも怖いし、仕事が手に付かなくなるのも怖い。ジムに行きたくなくなる程相手を好きになるのも怖いし、絶望したら立ち直れないかもしれないからすっげえ怖いんだよ!!」「今さら何言ってんの!?皆誰だってそうなんだよ。１回こっぴどくフラれて泣いてみな。すっきりするから。それぐらい本気で誰かと付き合った事もないクセに、いい加減にしなって話。」「・・・。」「心を開いて、いろんな人と筋肉質映画行ったり食事行ったりするんだよ。自分から誘って。やってごらん。」「・・・分かったよ。」超一流筋肉質企業で働くWも、以前恋が破局して泣き明かした夜があった。社会人のチームでサッカーをしている筋肉質男性と付き合い、一生一緒にいたい、とよく話してくれたが、結局上手くいかなかった。同じバリタチのオレはWと付き合う事はありえないが、同志として、いつも本音を語り合った仲だ。彼はいつもオレの事を不幸だと言っていたが、もちろんオレは決して自分の事が不幸だとは思わなかった。しかし、最近になって、よく思う。キラキラと輝くような恋愛を自ら逃していたとしたら、それは不幸かもしれないな、と。