手術は15分くらいで終了した。手術中は麻酔のおかげで痛みはまったくなく、何か凄いことをしているとは思うものの、見えないし、痛くもないのでわからない。
大変なのは手術後の「ダウンタイム」という状態で、とにかくまぶたが腫れる。目がズキズキと痛み、目を開くと痛くなるのでまばたきの回数が減る。
腫れがひいて、まともに出かけられるには5日ほどかかった。その間、まったく指名がないのが俺らしくて情けない。
さて、結果はというと、顔に劇的な変化はない。埋没法は目の手術ではなく、まぶたの手術なので目の形が変わることはない。くっきりとした二重になり、逆さまつ毛が上がってぱっちりした印象になったくらいだろうか。あとは左右同じ幅の二重になったことにより、顔のバランスがよくなった。それくらいだ。
そして、誰かにバレるかと思いきや、未だに誰にも気付かれない。安心したような、寂しいような、不思議な気持ちだ。
しかし、顔に劇的な変化がないといいつつも、環境と内面はゆっくりと変化していった。
イケメンかどうかはわからないが、少なくとも絶対にブサイクではない、という事実は俺に自信を与えてくれた。今までのように、自虐ネタで笑いを取ったりしなくてもいいし、イケメンらしく振る舞ってもおかしくはない。モテる人特有の雰囲気や威圧感も手に入れた気がする。
というわけで、モテるようにもなったし、結果的には大満足だ。鏡を見るたびに、やってよかったなあと思う。整形は心の手術でもあったのだ。
思いのほか満足してしまい、ウリセンのサイトの写真に関してはどうでもよくなってしまった。写真を撮り直したいと言ったら整形がバレるかもという後ろめたさがあったし、自分に満足してしまったら指名が少なくても不満になることはなくなった。他者への承認欲求は、自己満足によって一度満たされた。我ながらハードルが低く、単純な人間だ。
芸能人やモデルのような格好よさを手に入れたわけではないから、もっと整形をすることもできる。しかし、ひとまず問題は片付いたのだった。
もし、次また整形することがあったら、埋没法の糸が取れた時か、何か心に大きな問題があった時だろう。心の問題のために美容外科があるということが実感できて、本当によかった。