リピーターばかりが続いていた中で、久しぶりのご新規さんだった。36歳で彼女はいるが、なんと男性経験は今日が初めてだと言う。
「前々からビデオ見たり男には興味があったんだけどね。初めてはプロの人なら安心かなって」
無理やりカテゴライズするならば、ノンケ寄りバイと言ったところか(「ウケ寄りリバ」くらいに不毛なカテゴライズではあるが)。確かに言われてみればノンケっぽい。この人の初めてを奪えると思うと、変にドキドキする。
「あれっ、もうビンビンですよ?」
シャワーを浴びる段階で、フル勃起しているのを見て、俺はそそのかす。そのサイズがあまりに大きくて、俺もつられて勃ってしまう。
「今日のために溜めてきたからさ。早くヤろうよ」
焦るお客様をすぐに洗って、ベッドへ誘う。性欲にまみれただらしない顔が男くさくて俺を欲情させる。
「しゃぶって……」
ゆっくりと巨根を口に含んでいく。硬くて太くてしゃぶりがいがある。自分からフェラをするのはまだ抵抗があるらしく、一方的な俺のフェラが続く。
「今日は入れなくていいんですか?」
「ケツはあんまヤりたいって思わないんだよね。手でヤってほしいな」
これだけ大きいと大変だなと焦っていただけに、俺は少し安心する。
しばらくしごき続けると、「あっ……」と小さい声と共に射精する。よほど溜めていたせいか、何度も出続ける。
「はぁ……気持ちよかったよ。ありがとう」
「どうでしたか? 初の男は」
「うーん。やっぱり女よりフェラが上手いね」
ノンケがゲイビデオに出た時の感想のようだ。これから、もっと男への扉を開いていくのだろうか。初めの一歩を満足してくれれば俺も嬉しい。
お客様が帰ると、急いで掃除をして、事務所に寄って、家へと戻る。時給にすればワリがいいとわかっていつつも、ウリセンで時間を割かれるのがもどかしい。
(やっぱ辞めちゃおうかな。バイトを続けてもスキルアップするわけでもなしに)
家に帰ってパソコンを起動する。メールチェックをすると、ゲイ専用のSNSからメッセージが届いていますというメールが来た。
(あれっ、このSNS放置状態なのに。何だろ)
メッセージを見ると、それは他の店からのスカウトだった。