待機が続き

それから何回か、週末は待機所へ行くようにした。
　一応、一日じゅう待機していて客がつかなかった場合は、待機保証として3000円が貰える。しかしそれなら他の仕事をしていたほうがいいし、何もしていないのにお金を頂くのも気が引ける。
オバさんが来たーと言われたりもしたが、そういう時はとりあえずヘラヘラしていた。流石にそこまで露骨に言ってくるのはその２人だけで、あとの子は普通に話してくれる。
　待機保証が何度か続いた時、話があると言われ、マネージャーに呼び出された。面接の時に使った部屋だった。
「アツヤ、あのさ……言いづらいんだけど」
と、前置きをするものの、言いたいことは既になんとなくわかっている。
「ちょっと成績悪いんだよね、アツヤの」
「ですよねー」
　笑いながら俺は言ってみたものの、マネージャーは笑っていない。
「や、別にノルマとか無いしさ、別に仕事があるのはわかってるよ？　でもさ、ぶっちゃけると、アツヤ今んとこビリなんだよね」
「えっ、えぇーーー！」
　ビ、ビリって。思わず声を出して驚いてしまう。自分が誰よりも売れてなかったとは。
「いや、もちろんシフトさえ出してこない、辞めたも同然の子もいるけど、そういう子を除いてって話ね。だからさ、ちょっと頑張ってほしいなって」
「はぁ……」
「例えばリピーターになるようにお客さんにメールするとかさ。番号は教えちゃダメだけど、サブアドならオッケーなんだし。あとはもっとブログ書くとかさ。タクマみたいに……アイツ、ナンバーワンだし。確か一緒の店だったんだよね？」
　マネージャーが言う具体的な方法はもっともだった。メールもブログも、俺は正直面倒で一切やっていなかった。やっぱりいろいろやらなくてはいけないのだろうか。
　それにしても、タクマ君はここでもナンバーワンになったとは。店を変えて成功する人もいれば、失敗する人もいる。
「あとは自分のウリを考えてみるとかさ……もっと売れたいでしょ？　ま、頑張ってみてよ」
　そう言ってマネージャーはソファーから立ち上がり、話を終えた。