数日後、面接時と同じ場所、つまり事務所まで行って、写真撮影と研修を行うことになった。
(研修ってどんなことするのかな。無理やりヤられて、もっとケツ振れ! とか言って怒られるのかな……それはそれで面白いな)
そんなことを考えていたが、まずは撮影となり、近所の公園で簡単に撮られた。カメラは一眼レフだが、他に特別なことはなく、普通のスナップ写真だ。
しかしこの撮影が、後々自分を大きく変えることとは思っていなかった。
その後は事務所と同じビルにある一室へと向かう。そこはソファとベッドとテレビのある部屋、つまり「仕事」をする場所だ。
「じゃあ、下着姿を撮るから脱いで」
一瞬、緊張するが恥ずかしがっている場合ではない。これも仕事だと思って俺はボクサーパンツ一枚になる。
次々にポーズを変えていくうちに、何だかモデルにでもなったような心地よさが生まれてくる。このままエロい展開になってもいいかも……などと思っていたら、あっさり撮影は終わり、洋服を着て研修となった。
「お客様が来たら事務所に電話。料金は前金でね。まずはシャワー。私物が盗まれないよう、必ず一緒に入って。入ったら……」
というような、メモを取る間もない大まかな説明のみで、もちろん変なことはない。
「お客様が帰ったら、ゴミは一階のゴミ捨て場に、掃除はクイックルワイパーで、それからお風呂の水滴をバスタオルで取って……」
(何だか思ったより普通だな。というか、セックス以外にもやることがいろいろあるんだなあ)
一連の流れを説明され、何とか俺は記憶する。
研修というか、ただの説明が終わると、俺と店長は事務所へ戻る。
決まりごとがプリントアウトされた紙を渡され、ウリセンの心得や性病についても話す。
「それと、名前どうしようか。SNSで使っていたアツヤでいい?」
「あ、ハイ」
「年齢は……実年齢の28じゃヤバいから、23にしようか。見えるからいいよね」
確かに見た目はよく若いと言われるし、だからこそ応募したというのもあるが、5歳もサバを読むとは。とはいえ、そこまで大げさな嘘をつかれると、面白くて演じたくなる。
こんな感じで、いとも簡単にアツヤ23歳は作られた。