店のサイトに載った自分
「じゃあ今日撮った写真、この後すぐアップするから。そしたら予約も開始して、仕事が始まるからね」
「はいっ」
本当にウリセンになったのか……といっても、まだ仕事はしてないから実感がない。
翌日、店のサイトを見ると『色白スリムのアツヤくんが入店しました!』という触れ込みで自分が掲載されていた。
「うわー、何コレ、恥ずかし~っ! 俺、載っちゃってるよ!」
いまでは当たり前のことだが、初めて見た時は本当に恥ずかしかった。
クリックすると、プロフィールのページへと飛ぶ。身長、体重、年齢、サイズ(13cmで提出したのに15cmになっていた)はもちろんのこと、可能なプレイや店側のコメントが載っている。
色白スリムのアツヤくんは礼儀正しく落ち着きのある性格が魅力的。
すべすべのモチ肌は触り心地最高! もちろんプレイもテクニシャン。
タチもウケも両方可能なのでぜひ一度ご指名ください!
(何とも当たり障りのないコメントだなー。モチ肌じゃねーし。つっても、特に書くことがなくて大変だったんだろうなー)
店側の苦労を思うと、申し訳なくなる。
「……それよりも、この顔!」
一番辛いのが写真だった。もうちょっとマシに写ってるだろうと思っていたが、正直キツい。客観的に見てこんな子が売れるんだろうか。高い金払ってセックスしたくなるんだろうか。いざ他の子たちと並ぶと、自分がいかに「普通の子」であるかがわかる。でも、ここでは普通が許されない。
今までは、見た目の好みなんて人それぞれだし、と抽象的な理由でごまかすことができた。しかし見た目を売り物にした途端、もうそれは通用しない。
承認欲求で始めたつもりのウリセンが、自分の足りなさに気付かされてしまった。
(ウリセンって土俵に上がれば何かが変わるかと思ったけど、何もない自分を知っただけなんだな……)
そしてこのコンプレックスは、後々俺をまた別の方向に走らせることとなるのだった。